[彗星とともに生きる]
木内鶴彦 きうち・つるひこ

長野県南佐久群臼田町(うすだまち)出身。彗星捜索家。子どもの頃に星や宇宙の神秘に魅せられて、自作の望遠鏡を作っては星を眺めていた。その頃、イケヤ・セキ彗星を見て感動する。以来宇宙への憧れはますますつのり、主に天文同好会の活動を中心とした学生時代を過ごす。空への想いから航空自衛隊へ入隊するが、23歳を目前に臨死体験。これがきっかけとなり彗星捜索が自分の役割と考えるようになった。宇宙へのロマンを求めて、地元臼田町に戻り、天体観測を続け、今に至る。数年間で数々の彗星を発見している。特に1992年9月27日のスイフト・タットル彗星の発見はその後の人生に大きな影響を与えることとなった。 その他、ふるさと往来クラブ「コロンブスカレッジ・自然の学校」校長、臼田町星の会講師オブザーバーなど。著書に「宇宙(そら)の記憶」(龍鳳書房)がある。また様々な講演活動を行い、DNP・大日本印刷の銀座の学校では「彗星とのコミュニケーション」を講演している。

sensoriumのスタッフが
木内鶴彦さんにお願いした理由



「遠くからもっと見てみなよ、そう思うんですよ。」

木内さんの日課は朝7時から始まります。出勤は7時30分。17時30分〜18時30分まで仕事場に通います。この仕事場が、子どもの頃につくった秘密基地のようで、楽しい。帰宅後、入浴、夕食をすませ、観測に出かけます。観測は、基本的に日没後1時間30分から日の出1時間30分前まで。雨の日、講演の日、満月頃の5日間は観測休日。それ以外は毎日観測しています。

仕事場の木内さん。

















この車で観測に出かけます。
















双眼鏡を組み立てます。










これで星の写真を撮る。月の撮影が一番難しい。
円周にピントを合わせると中がぼけてしまう...。










観測は夏でも冷えこみます。冬は零下の世界。







「人間も宇宙のかけらだから。自然と共存するのがあたりまえ。時々、人間が手を出すこと自体がよくないって言う人いるけど、僕はこう考えるんです。人間には知恵というものを授かった。それを生かして自然とともに生きるのが役割なのではないかと。例えば森を放っておいて荒らすより、昔の人は必要なところだけいただいて、間引いてやる、という考え方。そういうの全部自然なんじゃないかな。」


>>ただいま接近中<<
1996年7月23日に木内さんが撮影したヘール・ボップ彗星。

ヘール・ボップ彗星は、昨年7月に発見された彗星。 この彗星は他の彗星と比べて本体が桁違いに大きい巨大彗星。 ほとんどの彗星が直径数kmから数十kmなのに対して、ヘール・ボップ彗星は直径100kmを超えると言われています。来年4月には-2等級にまで明るくなるとの予報が出ており、多くの天文ファンが期待している彗星です。

>>さらに接近中<<
1996年11月16日に木内さんが撮影したヘール・ボップ彗星。




>>流星群<<
1996年8月12日に木内さんが撮影したペルセウス座流星群。




木内鶴彦さんに
ご登場いただいた理由


 1992年9月27日、木内鶴彦さんは長いこと行方不明になっていたため世界中の天文家達が探していたスイフト・タットル彗星を(再)発見しました。当時の彼にとっては、4つめの彗星発見。もちろん木内さんは大喜びでした。
 しかし、この彗星のより正確な軌道を計算したところ、予想もしない結果が返ってきたのです。それは彗星が次に帰ってくる2126年にスイフト・タットル彗星は地球とニアミスするかもしれない!という衝撃的なものでした。

 自分が発見した彗星のことを木内さんは「まるで自分の子供みたいなものです。」と語っています。その自分の子供の行く末が、地球との衝突!?と知って木内さんは少なからずショックを受けました。
 でも、ここが木内さんらしいところですが、彼はこのことを前向きに転ずることはできないかと考え始めました。すなわち「彗星との衝突の事を考えることは、世界が手を結ぶきっかけになるかもしれない」、そう考えたのです。「発見した人間の仕事だから」と言いながら、今では2126年に向けて様々な活動と呼びかけを行っています。
(ちなみに最新の軌道計算からは"ニアミスしない"という結果が出ました。でも宇宙で起きることです。人智をはるかに超えた「計算ミス」も起こるかもしれません。)

 さて、毎日星を眺めながら宇宙の中の自分の位置を意識し続けている木内さんの中には、「自然と人間と宇宙は一体」という実感がごくあたりまえの事としてあります。こうした実感を忘れてしまいがちな私たちは、彼の発想に学ばされるところがたくさんあります。(詳しくはそれぞれのコンテンツをご覧下さい。)
 毎夜、大きな双眼鏡で宇宙を見つめている木内さん。そんな彼の人生とスイフト・タットル彗星との関係を浮き彫りにすることで、私たちと宇宙との関係のダイナミズムを思い出すきっかけになれば、と今回ご登場いただいたのです。(sensorium スタッフ Ueda)
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