『声字実相義(しょうじじっそうぎ)』

 空海による、密教の言語哲学にして世界観を記した書。819(弘仁10)年に著された。三つの偈(げ=詩のかたちで教理を述べたもの)の解釈という形式を採り、ひとつは『大日経』から取っているが、残りふたつは空海のオリジナルである。ここで引いた偈の現代語訳は以下の通り。「地・水・火・風・空にみな響きがある/地獄・餓鬼・畜生・阿修羅・人・天・声聞・縁覚・菩薩・仏の十界にそれぞれ言語をそなえている/色・声・香・味・触はことごとく文字である/これらすべてのものの本体である法身は、声字の実相にほかならないものである」(宮坂宥勝訳)