[back to sensorium Home page] English


BeWare 01/02: Satellite

 "BeWare01: satellite"は、NOAA (National Oceanic & Atmospheric Administration) の極軌道衛星が、地表870kmの上空から捉えている今現在の地球の様子を、幅9cm・長さ160cmのプレート上に表現する、生きたオブジェです(したがって、ウェブページ上では体験できません。あしからず)。
    Exhibition Schedule
    1997/9/8-98/6/29 Ars Electronica Center Linz, Austria
    1998/7/19-24 "SIGGRAPH 98" Orlando, Florida
    1998/8/27-10/18 "La Biennale de Montreal 1998" by CIAC Montreal, Canada
    1999/6/22-6/20 "メディアの足し算、記号の引き算" by NTT/ ICC Tokyo, Japan
    (以降の展示はアレンジ中。興味のある方は、beware01@sensorium.org までご連絡ください)

 衛星による地球一周分の最新データを、インターネット越しに入手。衛星の飛行速度に合わせて地表の画像を投影し、赤外線画像をもとに生成した温度データをプレート下面のペルチエ素子に。触ると、手のひらを通じて衛星が捉えた世界の温度が感じられます。

 WWWやインターネットのインターフェイスが、ウェブブラウザーや現在のコンピュータ端末に限定される必要はありませんよね。
 "BeWare01: satellite"は触感を通じて、生きている世界への想像力を喚起しよう。同時にインターネットで可能な表現のイメージを拡げてみようという試みです。


※BeWare02 は、SIGGRAPH98 参加時点で制作した、内部機構のマイナーチェンジ版です。




inside storyThe inside story of BeWare01: Satellite

 BeWareは、センスウェアの新しいラインナップの呼称。そしてBeWare01: Satellite(以下01)は、スタッフが"なるモノ"と呼んできたアイデアへの第一歩です(なるモノの詳細は、スタッフまで質問願います)。アルスエレクトロニカ・フェスティバル97 への参加という、空間展示の機会をいかして、Webページでは実現できない体験、つまりPC端末では表現できないセンソリウムを作ってみようと考えました。

 当初のアイデアは、「インターネットにTCP/IPで直結した、地球の温度を手で触って感じられる、リアルタイムな地球儀を作ってみたい」というもの。
 しかし、プロジェクトが進む過程において、01はまた少し別の方向へと進みました。(地球儀のアイデアは、また別の機会に実現したい)
 ここでは、01を構成するシステムの概説を兼ね、制作のプロセスをザッと紹介します。



[BeWare01: Satelliteのあらすじ]

 センソリウムの一部のメンバーは、「Weather Tracker」というMACのシェアウェアを時々いじっていた。これは、WWW上のweather serverにアクセスして、世界各地の最新の気温データを表示してくれる小さなユーティリティ。
 このソフトは、インターネットにはメールやウェブ以外にも、いろんなアプリケーションがありえることを教えてくれた。またアイデアのきっかけにもなったので感謝。

 スタッフは97年6月中旬から、気温観測の現状、及びインターネットとの関わり合い、どの程度の情報がインターネット上で公開されているか等について調べ始めた。
 たとえば、Weather Underground というサイトには、世界5000カ所ほどの最新の気象情報が公開されているが、更新頻度がまちまちで、リアルタイムなデータとは言えない。これはそもそも、気象観測情報の共有にインターネットが使われていないのだから、仕方のない話だった。
 (このサーベイでは、地球流体電脳倶楽部のメーリングリストやA.シュナイダーさん、櫻井智明さんにもいろいろと教えていただいた)

 とりあえずの結論。各国の気象観測網は、インターネットに直結していない。
 考えてみれば、航空網の管制にも使われるシリアスなデータなのだから、インターネットでお約束の遅延やパケットロスは許されないはずだ。国際間の気象情報の共有にも、インターネットとは別のネットワークが存在し、運用されていることを知った。(cf.1,cf.2)
 インターネットにTCP/IP接続できる観測計器は既に商品化されているが、これが世界中をカバーしていない限り、先の「各地の温度とリアルタイムに直結した地球儀」というアイデアは実現しない。

 そこで、地上観測網ではなく、気象衛星データのチェックを始めた。


衛星からの画像 最初にスタッフが驚いたのは、NASA のサイトにある、"ひまわり"や"GOES"といった、静止衛星からのデータ。何種類かのカメラによる画像が、約6時間遅れで逐次公開されている。
 ところで、衛星が積んでいるカメラとインターネットは、ピープホールカメラのように直結しているわけではない。NASAの人々の仕事という大きなワンクッションをはさんでいる。どこまで自動化されているかは知らないが、大変な努力と創造性の上に成立しているシステムだろう。
 これらの過程を通じ、インターネットだけでなく、衛星というシステムそのものに対する敬意がふくらんできた。

 NASAのサイトで入手できる気象データは、日本の"ひまわり"と米国の"GOES-8" "GOES-9"の三つ。しかしこれらだけでは地球全体をカバーできない。ヨーロッパ上空には、METEOSAT という衛星が浮かんでいるが、Webで入手可能なデータはグラフィカルな加工済みのもので、応用が難しく利用を断念。ちなみにインド洋を中心にカバーしているロシアの衛星は、Webページのロシア語が文字化けで読めず、着手を断念。


 データサーベイと並行して、エンジニアリングのチームは、ペルチエ素子にセンサーを付けて温度制御する、温度を手のひらで体感できるインターフェイスの試作を進めた。

 問題はペルチエ素子からの排熱処理。衛星から見た地球は、その大半が雲におおわれている。雲は冷たいので、ペルチエ素子の表面を冷たくしてそれを表現するわけだが、素子の特性上、片方の面を冷たくすると反対側の面がその分熱くなる。このため、十分な放熱板を用意しないと温度のコントロールが効かなくなってしまう。こうしたハードウェア的な制限と、入手可能なデータの状況を合わせ、最終的な表現形態が絞り込まれたのは7月下旬。


 静止衛星のデータを使ったプロジェクトについてたくさんのアイデアが出されたが、最終的に選択されたのは NOAA という極軌道衛星のデータ。この衛星は地軸に対して縦方向に周回しながら、地球の自転を利用し、約一日かけて全地表をスキャニングしている。
 静止衛星と異なり、かなり低い軌道を飛んでいるこの衛星は、落下する確率も高いのかもしれない。現在可動している NOAA は、既に14機目の様子。

 NOAA のデータを入手するには、Webページ上のフォームにリクエストを書き込み、データの準備ができたというメールが届くのを待つ。
 FTPでのデータの取り出し方が送られてくるまでの時間差はまちまちで、小一時間でリプライをもらえることもあれば、一日近くかかることもある。(いずれにしても、こうした公的なデータを公開し共有することについて、日本はすごく遅れていることを痛感する)


 BeWare01: Satellite のシステムは、インターネットを通じて定期的に NOAA のサイトにデータをリクエストし、受け取ったデータをつないだライブデータを生成し、プレート上に流している。可視画像を動画に、IR(赤外線)画像を温度情報に変換しているわけです。

 このシステムはインターネットが落ちたら動かなくなるし、NOAA 側がデータの供給を停止しても動かなくなる(むろん、リクエストの方法に変更が加わっても動かなくなる。いつも、展示期間中に変更が生じないことを祈るばかり。一応、NOAA のサイトマネージャー氏にはメールをしているのだけど…)


 しかしなんと言っても、今この瞬間も NOAA が無事飛んでいて、働きつづけていることが素晴らしいと思う。全てのシステムと、それらを支える仕事に感謝します。




"BeWare01: Satellite" SINCE Sep.1997

東泉一郎(ディレクション/アートディレクション)/ 島田卓也(リサーチ/プログラミング)
小野充一(エンジニアリング)/ 西村佳哲(アイデア/サブディレクション)
岩政隆一(エンジニアリングサポート)/ 関根元和(プログラミング)/ 大滝文子(オブジェ制作サポート)/ 新工芸+谷口正弘(オブジェ制作)/ 江渡浩一郎/ 小崎哲也/ 大野一生 / パメラ・バジリオ(英語版制作)/ 竹村真一(プロデュース)

IN COLLABORATION WITH
(財) 国際メディア研究財団 / (株) GKテック

SPONSORED BY
(財) マルチメディア振興センター / 大日本印刷 (株) / 日本電信電話 (株) / (株) 電通 / (株) 日立製作所

COMMISSIONED BY
アルスエレクトロニカセンター


links
COMMENTS? Copyright (C) 1997 sensorium

Home BreathingEarth NetSound WebHopper NetPacket StarPlace World Ear MeetingPlace WebDoors Sensing Japan Staff FAQs